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DXは3つのステージで進める

投稿日:2021年11月9日 更新日:


前回の記事では、DXを成功させるために重要な3つのポイントについて説明しました。
今回は、DXは具体的にどう進めていけば良いのか考えてみたいと思います。

DXの3つのステージ

DXは、既存事業の運営と並行して、以下の3つのステージで進めます。

  • 設計
  • エンタープライズアーキテクチャの設計。
    DXによって会社がどこへ向かうのか、企業の戦略とアーキテクチャ(基本構造)を設計します。
    エンタープライズアーキテクチャ(以下、EA)は、DXの設計図(青写真)になります。

  • 構築
  • デジタルトランスフォーメーション。
    EAに従って、実際にDXを進めます。
    DXによって、企業のプラットフォーム(エンタープライズプラットフォーム、以下、EP)を構築します。
    まず、ITプラットフォーム(IT基盤、データ基盤、アプリケーション基盤)を構築し、その上にビジネスプラットフォームを構築します。
    EPを構築する過程で、段階的に業務、システム、データを移行します。

  • 運用
  • 実験と実践。走りながら考える。
    構築されたEPの上で、実験(Experiment)と実践(Practice)を繰り返して、事業を革新・創出し続けます。

DXを進める上で重要な4つのポイント

DXを進める上で重要な点は以下の4つです。

  • 経営戦略の一環として進める(戦略:Strategy)
  • 「なぜDXをする必要があるのか」でも言及しましたが、DXは、企業の心身を変革する活動であり、相当な痛みを伴う活動です。
    なので、経営者が主体となって経営戦略の一環として進める必要があります。

  • 論理から物理に展開する(設計:Design)
  • 「DXを成功させる3の鍵」でも言及しましたが、DXによって、企業を変化に強い構造にするためには、業務とシステムを、変わりにくい本質的な論理的構造と、技術の進歩によって変わりやすい物理的構造に分けて設計する必要があります。
    EAはトップダウンアプローチで設計します。
    まず、あるべき姿を論理的構造として設計し、それを実現する物理的構造を設計します。

  • 基盤から構築する(構築:Build)
  • EAとは逆に、EPはボトムアップアプローチで、IT基盤→データ基盤→アプリケーション基盤→ビジネスプラットフォームの順に構築します。
    家を建てるときも基礎から構築するのと同じアプローチです。

  • 段階的に移行する(移行:Transition)
  • 現行業務、システム、データを移行するときは、移行計画を立てて、段階的に進めることでリスクを軽減します。

設計

EAの全体像

EAの全体像を、5W1Hの視点と、型か実例で整理すると以下のようになります。

集合で考えると、
型は、集合を表し、論理的視点になり、
実例は、集合に属する具体的な要素を表し、時間軸と空間軸を持つ物理的視点になります。
EAのうち実例(物理的視点)の要素がEPとして構築されます。
EAのうち、
Why(なぜ)の部分、経営理念とビジョンが、アーキテクチャの設計思想になり、
残りのWhat(誰に何の価値を)、Who(誰が)、What(何を使って)、Where(どこで)、How(どのように)の部分が、アーキテクチャの基本構造になります。
また、型に対して、実例は物理的視点なので時間軸(When)を持ちます。
なお、ここでは、便宜上、論理的な場所を「場所」とし、緯度経度や住所によって決まる物理的な場所を「拠点」としています。
また、資産を「稼ぐ力も持つ論理的な要素(利益獲得能力)」と定義し、その具体的な物理的要素を資源としています。
資産(資源)は、人的資産(資源)、知的資産(資源)、財務資産(資源)、情報資産(資源)に分類することができます。
情報資産(資源)は、さらに、
データ
アプリケーション
IT基盤
に分類でき、それぞれ、DA、AA、TAに対応するものになります。

EAの設計手順

EAは、以下の手順で設計します。

  1. 現状分析
  2. 現行の事業、業務、システム、データを整理します。

  3. 戦略策定
  4. 経営理念、事業ドメイン、ビジョン、経営戦略を確認します。
    DXを含めた企業のビジョン、および、経営戦略を策定します。

  5. 構造設計
  6. 以下の順で設計します。

    1. ビジネスアーキテクチャ(BA)
    2. BAは企業全体の業務構造で、MDAのCIMになります。
      BAは、ビジネスプラットフォームの設計図になります。

    3. データアーキテクチャ(DA)
    4. DAは企業全体のデータ構造で、MDAのPIMである論理データモデルと、PSMである物理データモデルがあります。

    5. アプリケーションアーキテクチャ(AA)
    6. AAは企業全体のアプリケーション構造で、MDAのPIMである論理アプリケーションモデルと、PSMである物理アプリケーションモデルがあります。
      AAは、アプリケーション基盤の設計図になります。

    7. テクノロジーアーキテクチャ(TA)
    8. TAは企業全体のIT基盤の構造を表します。

  7. 計画策定
  8. DXのアクションプランを策定します。

BAの設計

  • バリューチェーンの設計
  • 事業の主要活動、事業支援活動、企業支援活動を設計する。

  • バリューストラクチャの設計
  • バリューチェーンの主要活動を構成する要素の相互関係(ビジネスモデル)を設計する。

  • ビジネスプロセスの設計
  • バリューチェーンを構成する活動領域ごとに、価値を生み出す機能としてのビジネスプロセスを設計する。

  • ジョブの設計
  • バリューチェーンを構成する活動領域ごとに、業務を構成する論理的機能としてのジョブを設計する。

  • ビジネスストラクチャの設計
  • 各ビジネスプロセスにおけるジョブの相互関係を設計する。

  • ビジネスフローの設計
  • 各ビジネスプロセスにおけるジョブの順序関係を設計する。

  • 組織の設計
  • 各ジョブに割り当てられる物理的要素として社員を分類する組織を設計する。

  • 場所の設計
  • 組織やサーバーが配置される論理的場所としての場所を設計する。

  • 拠点の設計
  • 組織やサーバーが配置される物理的場所としての拠点を設計する。

DAの設計

  • データの洗い出し
  • BAのジョブで必要な構造化データ、非構造化データを洗い出す。

  • 論理データモデルの設計
  • 構造化データ(実体データ、参照データ)の論理的構造を設計する。

  • 物理データモデルの設計
  • 論理データモデルを構成するエンティティに対してデータベーススキーマを割り当てる。

  • 非構造化データモデルの設計
  • 非構造化データの論理構造(データレイクのメタデータ)を設計する。

AAの設計

  • アプリケーションの洗い出し
  • BAのジョブで必要なアプリケーションシステムを洗い出す。

  • 論理アプリケーションモデルの設計
  • アプリケーションシステムの論理的構造を設計する。
    その際、アプリケーションで扱うデータをマッピングする。

  • 物理アプリケーションモデルの設計
  • 論理アプリケーションモデルを構成するアプリケーションに対して物理的なアプリケーションコンポーネントを割り当てる。

TAの設計

  • デジタル技術の設計
  • AAのアプリケーションをどのようなデジタル技術(モバイル技術、マイクロサービス、SNS、AI、ブロックチェーンなど)で実現するか設計する。

  • IT基盤の設計
  • デジタル技術を受けて、クラウド、あるいは、サーバーの構成、および、そのテクノロジースタック(OS、ミドルウェアなど)を設計する。

構築

以下の順で構築します。

  1. IT基盤の構築
  2. データ基盤の構築
  3. アプリケーション基盤の構築
  4. ビジネスプラットフォームの構築

運用

実験と実践を繰り返して(走りながら考えて)、事業を革新・創出し続けます。

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