
下図は、データドリブン経営のマネジメントサイクル(PDCAサイクル)です。

Check(検証)の「問題の特定」タスクは、財務KPIの目標値と実績値のGAPである問題がどこで発生しているのかを特定する段階で、「原因の推定」タスクは、その原因を特定する段階です。
ここで、戦略マップの因果関係を考えると、財務目標に対する原因を次のように分類することができます。
- 顧客価値・製品価値の型や種類が原因である場合(顧客の視点)
- プロセスの制約が原因である場合(内部プロセスの視点)
- 資産の型や種類が原因である場合(学習と成長の視点)

データドリブン経営では、Act(改善)で原因を取り除くことを課題とし、課題を解決するのですが、上記原因に対する課題を、
に分けると、各原因に対する課題を次のような順番で考えることができます。
- プロセスの制約が原因である場合(内部プロセスの視点)
プロセスの制約が原因である場合、制約スコアなどビジネスプロセスKPIの実績値に問題が出ます。- 戦略レベルの見直し
アクションプランの見直しで、これは制約理論(TOC)の制約の改善、制約への適合になります。 - 設計レベルの見直し
ビジネスプロセス(活動の流れ)の見直しで、これはTOCの制約の克服になります。
- 戦略レベルの見直し
- 資産の型や種類が原因である場合(学習と成長の視点)
資産の型や種類が原因である場合、資産の能力など資産KPIの実績値に問題が出ます。
TOCの文脈で考えると、ビジネスプロセスを遂行する資産の型や種類の見直し制約の克服になります。- 戦略レベルの見直し
社員の種類(意欲、能力)の見直しや、部門の見直し、アプリケーションの種類(機能、能力)などの見直しになります。 - 設計レベルの見直し
ジョブ(ビジネスアーキテクチャ)の見直し、アプリケーションアーキテクチャの見直し、データアーキテクチャの見直し、テクノロジーアーキテクチャなどの見直しになります。
- 戦略レベルの見直し
- 顧客価値・製品価値の型や種類が原因である場合(顧客の視点)
顧客価値・製品価値の型や種類が原因である場合、LTVなど顧客価値・製品価値KPIの実績値に問題が出ます。- 戦略レベルの見直し
市場セグメント(顧客カテゴリ)×製品ポジション(製品カテゴリ)の見直しになります。 - 設計レベルの見直し
顧客価値×製品価値の見直し、つまり、新規事業の創出になります。
- 戦略レベルの見直し
課題を考える順番ですが、費用対効果を考えて、
プロセス(戦略レベル→設計レベル)→資産(戦略レベル→設計レベル)→顧客価値・製品価値(戦略レベル→設計レベル)
になっています。
以上を踏まえて、ここでは、事業のステージ別にデータドリブンマネジメントサイクルがどのように実施されるか説明します。
事業のステージをBCG(ボストンコンサルティンググループ)の事業ポートフォリオ(プロダクトポートフォリオ)で分けると事業のステージは次のように分類することができます。
- 新規事業
新規事業の成長ステージは次のようになります。
- 既存事業
- 問題児
- 花形
- 金のなる木
- 負け犬

これにバリューチェーンで説明した以下の6つのデータドリブンマネジメントサイクルを組み合わせて、各サイクルの流れを見ていきましょう。
- Creationサイクル
潜在的シーズ×潜在的ニーズを結合する活動
これは、製品の開発×顧客の獲得による事業創出サイクルです。
BCGのプロダクトポートフォリオでいうと新規事業の状態から問題児の状態の主要活動であると考えることができます。 - Innovationサイクル
潜在的シーズ×顕在的ニーズを結合する活動
これは、製品の開発×顧客の活性化による事業創出サイクルです。
BCGのプロダクトポートフォリオでいうと新規事業の状態から問題児の状態の主要活動であると考えることができます。 - Communicationサイクル
顕在的シーズ×潜在的ニーズを結合する活動
これは、製品の改良×顧客の獲得による事業創出サイクルです。
BCGのプロダクトポートフォリオでいうと新規事業の状態から問題児の状態の主要活動であると考えることができます。 - Operationサイクル
顕在的シーズ×顕在的ニーズを深化する活動
さらに、これを次のように分類することができます。
Operationサイクル(製品の改良×顧客の活性化)
BCGのプロダクトポートフォリオでいうと花形の状態の主要活動であると考えることができます。
これは、製品の改良×顧客の活性化をするための事業変革および業務改革サイクルです。
Operationサイクル(製品の改修×顧客の維持)
BCGのプロダクトポートフォリオでいうと金のなる木の状態の主要活動であると考えることができます。
これは、製品の改修×顧客の維持をするための業務改善活動サイクルです。
Operationサイクル(製品の処分×顧客の処分)
BCGのプロダクトポートフォリオでいうと負け犬の状態の主要活動であると考えることができます。

Creationサイクル
計画(Plan)
「いつまでに顧客価値・製品価値仮説を実証する」という計画を立案します。
実行(Do)
以下を実行します。
- 顧客価値・製品価値仮説の立案
- メッセージ仮説の立案(どう理解してもらうか)
- 顧客接点の設計(どこで、どう当たるか)
- 検証方法の設計
- MVPの構築
検証(Check)
- 問題の特定
顧客価値・製品価値仮説を検証します。- 「一定期間あたりに前進した価値仮説の数・質」「正しく選択された顧客・市場との接点の増加」などビジネスプロセスKPIの実績値に問題がある
- 社員の能力など資産KPIの実績値に問題がある
- LTVなど顧客価値・製品価値KPIの実績値に問題がある
- 原因の推定
- 顧客獲得・製品開発プランが原因
- 顧客獲得・製品開発プロセスが原因
- 社員の種類が原因(例)
- ジョブの設計が原因(例)
- 市場セグメント(顧客カテゴリ)×製品ポジション(製品カテゴリ)が原因
改善(Act)
- 顧客獲得・製品開発プランの見直し(制約の改善・適合)と検証
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得・製品開発プランが効率的に実行される)
その顧客獲得・製品開発プランを策定、実行する(→Plan)。 - NG(稼働率を上げて実験してもプロセスの制約が解消されない)
顧客獲得・製品開発プロセスを見直す(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得・製品開発プランが効率的に実行される)
- 顧客獲得・製品開発プロセスの見直し(制約の克服)と検証
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得・製品開発プランが効率的に実行される)
その顧客獲得・製品開発プロセスをベースに顧客獲得・製品開発プランを策定する(→Plan)。 - NG(プロセスを見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
→社員の種類など資産の戦略を見直す(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得・製品開発プランが効率的に実行される)
- 社員の種類の見直しと検証
社員は、資産の種類の例で、アプリケーションの種類などの場合もあります。- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得・製品開発プランが効率的に実行される)
その社員をベースに顧客獲得・製品開発プランを策定する(→Plan)。 - NG(社員の種類を見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
ジョブの見直し(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得・製品開発プランが効率的に実行される)
- ジョブの見直しと検証
ジョブは、資産の型の例で、アプリケーションの型などの場合もあります。- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得・製品開発プランが効率的に実行される)
そのジョブの社員をベースに顧客獲得・製品開発プランを策定する(→Plan)。 - NG(ジョブを見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
市場セグメント(顧客カテゴリ)×製品ポジション(製品カテゴリ)の見直し(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得・製品開発プランが効率的に実行される)
- 市場セグメント(顧客カテゴリ)×製品ポジション(製品カテゴリ)の見直しと検証
- OK(顧客価値価値・製品価値仮説が立案される)
Operationサイクルへ(→Plan)。 - NG(市場セグメント×製品ポジションを見直して実験しても顧客価値価値・製品価値仮説が実証されない)
システム思考で外部環境も含めて根本的制約を分析し、新規事業創出を検討する(→Plan)。
- OK(顧客価値価値・製品価値仮説が立案される)
Innovationサイクル
計画(Plan)
「いつまでに製品価値仮説を実証する」という計画を立案します。
実行(Do)
以下を実行します。
- 製品価値仮説の立案
- 検証方法の設計
- MVPの構築
検証(Check)
- 問題の特定
製品価値仮説を検証します。- 「一定期間あたりに前進した価値仮説の数・質」などビジネスプロセスKPIの実績値に問題がある
- 社員の能力など資産KPIの実績値に問題がある
- 製品別売上など製品価値KPIの実績値に問題がある
- 原因の推定
- 製品開発プランが原因
- 製品開発プロセスが原因
- 社員の種類が原因(例)
- ジョブの設計が原因(例)
- 製品ポジション(製品カテゴリ)が原因
改善(Act)
- 製品開発プランの見直し(制約の改善・適合)と検証
- OK(プロセスの制約が解消され製品開発プランが効率的に実行される)
その製品開発プランを策定、実行する(→Plan)。 - NG(稼働率を上げて実験してもプロセスの制約が解消されない)
製品開発プロセスを見直す(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され製品開発プランが効率的に実行される)
- 製品開発プロセスの見直し(制約の克服)と検証
- OK(プロセスの制約が解消され製品開発プランが効率的に実行される)
その製品開発プロセスをベースに製品開発プランを策定する(→Plan)。 - NG(プロセスを見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
→社員の種類など資産の戦略を見直す(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され製品開発プランが効率的に実行される)
- 社員の種類の見直しと検証
社員は、資産の種類の例で、アプリケーションの種類などの場合もあります。- OK(プロセスの制約が解消され製品プランが効率的に実行される)
その社員をベースに製品開発プランを策定する(→Plan)。 - NG(社員の種類を見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
ジョブの見直し(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され製品プランが効率的に実行される)
- ジョブの見直しと検証
ジョブは、資産の型の例で、アプリケーションの型などの場合もあります。- OK(プロセスの制約が解消され製品開発プランが効率的に実行される)
そのジョブの社員をベースに製品開発プランを策定する(→Plan)。 - NG(ジョブを見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
製品ポジション(製品カテゴリ)の見直し(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され製品開発プランが効率的に実行される)
- 製品ポジション(製品カテゴリ)の見直しと検証
- OK(製品価値仮説が立案される)
Operationサイクルへ。 - NG(製品ポジションを見直して実験しても製品価値仮説が実証されない)
システム思考で外部環境も含めて根本的制約を分析し、新規事業創出を検討する。
- OK(製品価値仮説が立案される)
Communicationサイクル
計画(Plan)
「いつまでに顧客価値仮説を実証する」という計画を立案します。
実行(Do)
以下を実行します。
- 顧客価値仮説の立案
- メッセージ仮説の立案(どう理解してもらうか)
- 顧客接点の設計(どこで、どう当たるか)
- 検証方法の設計
検証(Check)
- 問題の特定
顧客価値仮説を検証します。- 「正しく選択された顧客・市場との接点の増加」などビジネスプロセスKPIの実績値に問題がある
- 社員の能力など資産KPIの実績値に問題がある
- 顧客別売上など顧客価値KPIの実績値に問題がある
- 原因の推定
- 顧客獲得プランが原因
- 顧客獲得プロセスが原因
- 社員の種類が原因(例)
- ジョブの設計が原因(例)
- 市場セグメント(顧客カテゴリ)が原因
改善(Act)
- 顧客獲得プランの見直し(制約の改善・適合)と検証
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得プランが効率的に実行される)
その顧客獲得プランを策定、実行する(→Plan)。 - NG(稼働率を上げて実験してもプロセスの制約が解消されない)
顧客獲得プロセスを見直す(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得プランが効率的に実行される)
- 顧客獲得プロセスの見直し(制約の克服)と検証
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得プランが効率的に実行される)
その顧客獲得プロセスをベースに顧客獲得プランを策定する(→Plan)。 - NG(プロセスを見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
→社員の種類など資産の戦略を見直す(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得プランが効率的に実行される)
- 社員の種類の見直しと検証
社員は、資産の種類の例で、アプリケーションの種類などの場合もあります。- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得プランが効率的に実行される)
その社員をベースに顧客獲得プランを策定する(→Plan)。 - NG(社員の種類を見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
ジョブの見直し(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得プランが効率的に実行される)
- ジョブの見直しと検証
ジョブは、資産の型の例で、アプリケーションの型などの場合もあります。- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得プランが効率的に実行される)
そのジョブの社員をベースに顧客獲得プランを策定する(→Plan)。 - NG(ジョブを見直して実験してもプロセスの制約が解消されない)
市場セグメント(顧客カテゴリ)の見直し(→Act)。
- OK(プロセスの制約が解消され顧客獲得プランが効率的に実行される)
- 市場セグメント(顧客カテゴリ)の見直しと検証
- OK(顧客価値仮説が立案される)
Operationサイクルへ。 - NG(市場セグメントを見直して実験しても顧客価値仮説が実証されない)
システム思考で外部環境も含めて根本的制約を分析し、新規事業創出を検討する。
- OK(顧客価値仮説が立案される)
Operationサイクル
計画(Plan)
財務目標(例えば売上目標)を実現するオペレーションプランを策定します。
実行(Do)
オペレーションを実行します。
検証(Check)
- 問題の特定
売上目標を検証します。- 制約スコアなどビジネスプロセスKPIの実績値に問題がある
- 社員の能力など資産KPIの実績値に問題がある
- LTVなど顧客価値・製品価値KPIの実績値に問題がある
- 原因の推定
- オペレーションプランが原因
- オペレーションプロセスが原因
- 社員の種類が原因(例)
- ジョブの設計が原因(例)
- 市場セグメント(顧客カテゴリ)×製品ポジション(製品カテゴリ)が原因
改善(Act)
- オペレーションプランの見直し(制約の改善・適合)と検証
- OK(オペレーションプランを見直して実験すると、プロセスの制約が解消され該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
そのオペレーションプランを策定、実行する(→Plan)。 - NG(オペレーションプランを見直して実験しても該当BSC・KPIおよび売上が上がらない)
オペレーションプロセスを見直す(→Act)。
- OK(オペレーションプランを見直して実験すると、プロセスの制約が解消され該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
- オペレーションプロセスの見直し(制約の克服)と検証
- OK(オペレーションプロセスを見直して実験すると、プロセスの制約が解消され該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
そのオペレーションプロセスをベースにオペレーションプランを策定、実行する(→Plan)。 - NG(オペレーションプロセスを見直して実験しても該当BSC・KPIおよび売上が上がらない)
社員の種類など資産の戦略を見直す(→Act)。
- OK(オペレーションプロセスを見直して実験すると、プロセスの制約が解消され該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
- 社員の種類の見直しと検証
社員は、資産の種類の例で、アプリケーションの種類などの場合もあります。- OK(社員の種類を見直して実験すると、プロセスの制約が解消され該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
その社員をベースにオペレーションプランを策定する(→Plan)。 - NG(社員の種類を見直して実験しても該当BSC・KPIおよび売上が上がらない)
ジョブの見直し(→Act)。
- OK(社員の種類を見直して実験すると、プロセスの制約が解消され該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
- ジョブの見直しと検証
ジョブは、資産の型の例で、アプリケーションの型などの場合もあります。- OK(ジョブを見直して実験すると、プロセスの制約が解消され該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
そのジョブの社員をベースにオペレーションプランを策定する(→Plan)。 - NG(ジョブを見直して実験しても該当BSC・KPIおよび売上が上がらない)
市場セグメント(顧客カテゴリ)×製品ポジション(製品カテゴリ)の見直し(→Act)。
- OK(ジョブを見直して実験すると、プロセスの制約が解消され該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
- 市場セグメント(顧客カテゴリ)×製品ポジション(製品カテゴリ)の見直しと検証
- OK(市場セグメント×製品ポジションを見直して実験すると該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
その市場セグメント×製品ポジションをベースにオペレーションプランを策定、実行する(→Plan)。
成長率×占有率の状態に合わせて、花形(製品の改良×顧客の活性化)、金のなる木(製品の改修×顧客の維持)、負け犬(製品の処分×顧客の処分)へ遷移します。 - NG(市場セグメントを見直して実験しても該当BSC・KPIおよび売上が上がらない)
システム思考で外部環境も含めて根本的制約を分析し、新規事業創出を検討する。
- OK(市場セグメント×製品ポジションを見直して実験すると該当BSC・KPIおよび売上が上がる)
これらのサイクルを事業のサイクルで表すと次のようになります。

また、各事業の内部では、TOCをベースに次のようなプロセスの制御サイクルが繰り返されます。

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