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データドリブン経営

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これは、データドリブン経営のマネジメントサイクル(PDCA)を表した図です。

データドリブン経営ですが、一般的には、経営判断やビジネス戦略の決定に、データや分析結果を活用することを指しますが、ここでは、
社員一人ひとりがデータを利活用して自律的に業務課題を解決することができる状態に変革すること
を目指します。
具体的には、データ駆動(ドリブン)でマネジメントサイクル(Plan-Do-Check-Actサイクル)を実行することです。

  1. 計画(Plan)
    戦略フェーズで策定された、バランススコアカード(BSC)KPI目標を実現するためのアクションプランのスケジュールを設定します。
  2. 実行(Do)
    アクションプランを実行します。
  3. 検証(Check)
    検証は「問題の特定」「原因の推定」の順で行います。

    1. 問題の特定
      まず、KPI目標値と実績のGapである問題を発見します。
      次に、ドリルダウン・アップやスライシングによる多次元分析によって、どこに問題があるか特定します。
      データ分析は、記述的分析、予測的分析、処方的分析に分けることができますが、多次元分析は、記述的分析(Descriptive Analytics)になります。
      例えば、次のようなデータ分析で問題を特定します。

      • どの店舗に問題があるか
      • よく買ってくれる顧客は誰か(顧客のセグメント別分析)

      なお、2つ目のケースなどのように「機会」は、負(ネガティブ)の問題と考えます。

    2. 原因の推定
      多次元分析によって、どこに(Where)問題があるか特定できたら、次に、なぜ(Why)問題が生じたのか、仮説推論(Abduction)で問題の原因を推定します。
      そして、回帰分析など機械学習を通して原因の確からしさを検証します。
      回帰分析は主に帰納(Induction)的な手法であり、与えられたデータから一般的な法則になる変数間の関係性を導きます。
      なお、回帰分析は、予測的分析(Predictive Analytics)になります。
      例えば、次のようなデータ分析で原因を推定します。

      • 問題がある店舗の何が原因(接客、品揃えなど)で問題が生じているか
        このような原因で店舗に問題がある。
      • よく買ってくれる顧客の特徴(顧客の属性)は何か
        こういう特徴がある顧客は、この製品をよく買ってくれる。
      • よく買ってくれる顧客は製品やサービスの何に(提供商品の特徴)価値を感じているか
        製品がこういう価値を提供するから、顧客がよく買ってくれる。
  4. 改善(Act)
    改善は「課題の設定」「解決策の考案」「実験計画の策定」「解決策の検証」「業務の改革・改善」の順で実施します。

    1. 課題の設定
      まず、原因を取り除くことを課題(Issue)として設定します。
      例えば、店舗の問題の原因が接客にあるのであれば、接客を改善することが課題になります。
      また、よく買ってくれる顧客の特徴がわかれば、似たような特徴を持つ顧客に製品をプロモーションして購買量を増やすことが課題になります。
    2. 解決策の考案
      次に、仮説推論(Abduction)で、課題に対する解決策(仮説)を考えます。
      その中には、AIを活用した解決策(レコメンド、最適な治療法の提案、最適な学習経路の提案など)も含みます。
      例えば、よく買ってくれる顧客と似たような特徴を持つ顧客の抽出には、類似性マッチング(similarity matching)などの機械学習モデルを活用することができます。
      AIを活用した解決策は、処方的分析(Prescriptive Analytics)になります。
      解決策が計画レベル(スケジュール)の見直しの場合、実験に進まずに、次のマネジメントサイクルに移ります。
      解決策が戦略レベルや設計レベルのの見直しになる場合、解決策の妥当性を検証するために、次の「実験計画の策定」に進みます。
    3. 実験計画の策定
      次に考案された課題解策を実証するために、ランダム化比較実験など因果推論に基づいた実験計画を策定します。
    4. 解決策の検証
      ランダム化比較実験を行い課題と解決策に、因果関係(一般的法則)があるか統計的に検証します。
      例えば、類似性マッチング(similarity matching)などの機械学習モデルを使って優良顧客の類似顧客を抽出したら、本当に、その顧客に製品をプロモーションすると製品を買ってくれるかどうか実験して確かめます。
      PoC(Proof of Concept:概念実証)も解決策の検証に入ります。
      なお、解決策が、新規市場開拓や新製品開発など戦略レベルの見直しの場合、新規市場や新製品を検証した後、「業務の改革・改善」に進まずに、次の戦略サイクルの戦略フェーズに移ります。
      解決策が、設計レベルの見直しの事業変革・創出場合、「業務の改革・改善」に進まずに、次の戦略サイクルの設計フェーズに移ります。
      また、解決策が、AIを組み込んだ新しいビジネスプロセスなど、設計レベルの見直しの業務改革・改善場合、AIを組み込んだアクションプランを検証し、「業務の改革・改善」に進みます。
    5. 業務の改革・改善
      因果関係が実証された解決策をビジネスプロセスに組み込みます。
      そして、解決策が組み込まれたビジネスプロセスをベースにPlan(アクションプラン)を策定します。
      アクションの方法が改善された場合、それをガイドラインとして記録することによって組織ナレッジが蓄積されていきます。
      実証された解決策を適用してアクションを実行し結論を導くのは演繹(Deduction)的アプローチです。

以上のように、データドリブン経営は、仮説検証を繰り返す科学的アプローチです。
PDCAの結果をすべて記録しノウハウとして蓄積することで学習し進化する組織が実現します。

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