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Swiftのデイニシャリゼーションについてわかりやすく解説

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Swiftでは、インスタンスが必要でなくなったとき、リソースを解放するために、自動参照カウント (ARC) という方法でインスタンスの割り当てを解除します。
インスタンスの割り当て解除が行われる直前に手動で行う処理をデイニシャリゼーションといいます。
今回は、Swiftのデイニシャリゼーションを以下の観点で解説します。

  • デイニシャリゼーションの方法
  • デイニシャライザの動作

参考本
[改訂新版]Swift実践入門 ── 直感的な文法と安全性を兼ね備えた言語 WEB+DB PRESS plus

デイニシャリゼーションの方法

デイニシャリゼーションは、以下のように、deinit キーワードでデイニシャライザを記述することによって定義します。

deinit {
 // デイニシャリゼーションを実行
}

これは、initキーワードでイニシャライザを記述するのと同じ要領です。
自動参照カウント (ARC) でインスタンスの割り当てを解除するのは参照型のみ関係するので、デイニシャライザはクラスのみ利用可能です。
クラスあたりにデイニシャライザを最大で 1 つ、クラス定義に持つことができます。
デイニシャライザはパラメータを受け取らず、丸括弧無しで記述します。
インスタンスの割り当て解除が行われる直前に、自動的にデイニシャリゼーションが呼び出されます。
デイニシャリゼーションを自身で呼び出すことは許可されていません。
スーパークラスのデイニシャライザはサブクラスによって継承され、スーパークラスのデイニシャライザは自動的にサブクラスのデイニシャライザ実装の最後で呼び出されます。
サブクラスにデイニシャライザが無い場合でも、スーパークラスのデイニシャライザは常に呼び出されます。
インスタンスはデイニシャライザが呼び出される後まで割り当て解除されないため、デイニシャライザはインスタンスのすべてのプロパティにアクセスすることができ、(閉じる必要があるファイルの名前を調べるような)プロパティによる処理を変更することができます。

デイニシャライザの動作

デイニシャライザの動作の例を示します。

class Bank {
 static var coinsInBank = 10_000
 static func vendCoins(numberOfCoinsRequested: Int) -> Int {
  let numberOfCoinsToVend = min(numberOfCoinsRequested, coinsInBank)
  coinsInBank -= numberOfCoinsToVend
  return numberOfCoinsToVend
 }
 static func receiveCoins(coins: Int) {
  coinsInBank += coins
 }
}

class Player {
 var coinsInPurse: Int
 init(coins: Int) {
  coinsInPurse = Bank.vendCoins(numberOfCoinsRequested: coins)
 }
 func winCoins(coins: Int) {
  coinsInPurse += Bank.vendCoins(numberOfCoinsRequested: coins)
 }
 deinit {
  Bank.receiveCoins(coins: coinsInPurse)
 }
}

Playerは、Bank(銀行)からvendCoinsで可能額を引き出し、receiveCoinsで預け入れます。
Playerクラスには、デイニシャライザが定義されいます。
デイニシャライザによって、Playerインスタンスのメモリが解放される直前に、Playerの持ち金すべてがBankに戻されるというデイニシャリゼーション処理が実行されます。
それではゲームを実行してみましょう。Playerはいつでもゲームから抜けられるようオプショナル(?)になっています。

var playerOne: Player? = Player(coins: 100)
print(“A new player has joined the game with \(playerOne!.coinsInPurse) coins”)
// “A new player has joined the game with 100 coins” と出力
print(“There are now \(Bank.coinsInBank) coins left in the bank”)
// “There are now 9900 coins left in the bank” と出力

playerOne!.winCoins(2_000)
print(“PlayerOne won 2000 coins & now has \(playerOne!.coinsInPurse) coins”)
// “PlayerOne won 2000 coins & now has 2100 coins” と出力
print(“The bank now only has \(Bank.coinsInBank) coins left”)
// “The bank now only has 7900 coins left” と出力

ここで、Playerがゲームを抜けました。

playerOne = nil
print(“PlayerOne has left the game”)
// “PlayerOne has left the game” と出力
print(“The bank now has \(Bank.coinsInBank) coins”)
// “The bank now has 10000 coins” と出力

この時点で、Player インスタンスに対する playerOne 変数の参照が切れます。
Player インスタンスを参照しているプロパティや変数が無いため、メモリを解放するために割り当てが解除されます。
この直前に、自動的にデイニシャライザが呼び出され、コインが銀行に戻されます。
結果的に、”The bank now has 10000 coins” と出力されます。

以上、今回は、Swiftのデイニシャリゼーションについて解説しました。

-Swift

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