ここでは、データドリブン経営について、次の観点で説明します。
データドリブン経営とは
データドリブン経営とは、
社員一人ひとりが
データとAIなどのデジタル技術を活用して
仮説と検証を繰り返し
自律的に業務課題を解決することができる
科学的マネジメント
のことです。
下図、データドリブン経営のマネジメントサイクル(PDCAサイクル)です。
通常のマネジメントサイクルとどこが違うのかを見ながらデータドリブン経営の特徴について見ていきましょう。
通常のマネジメントサイクルの場合、次のような流れになります。
- BSCやKPIで目標を管理している場合、Planで、BSCのKPI目標を実現するためのアクションプランを策定します。
- 次に、Doで、策定したアクションプランを遂行します。
- 次に、Checkで、目標と実績のGAPである問題を特定し、その根本的な原因を推定します。
- 最後に、Actで原因を取り除くことを課題、Issueとして設定し、課題に対する解決策を考案し、解決策を組み込んだPlanを策定します。
この2つを比較してみると、マネジメントサイクルのうちCheck(検証)とAct(改善)の部分が違います。
従来からあるマネジメントに対して、データドリブン経営が違う点、つまりデータドリブン経営の特徴は、次の2点になります。
①データやAIなどのデジタル技術を使って、できるだけ客観的な事実を基により適切な意思決定をするプロセスになっていること
②予測困難な時代、できるだけ成功の確度を上げるために、仮説と検証繰り返して業務課題を解決するプロセスになっていること
です。
具体的に見ていきましょう。
まず、データドリブン経営は、データやAIなどのデジタル技術を使って、できるだけ客観的な事実を基に、より適切な意思決定をするプロセスです。
具体的に言うと、データドリブン経営では、記述的分析(Descriptive Analytics)をし、原因を推定するとき予測的分析(Predictive Analytics)をし、解決策を考案するとき処方的分析(Prescriptive Analytics)をします。
次に、データドリブン経営は仮説と検証繰り返して業務課題を解決する科学的マネジメントです。
データドリブン経営では、解決策を仮説として考え、ランダム化比較実験を通して、解決策の妥当性を統計的に検証し、誰もが実践できるよう、妥当な解決策をビジネスプロセスに組み込みます。
最後に、データドリブン経営は、社員一人ひとりが自律的に課題を解決するマネジメントです。
データドリブン経営は、一部のマネジメント層だけが実施するのではなく、企業を構成するメンバー一人ひとりが、アイデアを出し、仮説を立てて自ら課題を解決することによって、事業パーパスに貢献する喜びと企業とともに成長する喜びを享受することができる仕組なのです。
データドリブン経営のマネジメントサイクル
次に、データドリブン経営の具体的なマネジメントサイクルについて説明します。
- 計画(Plan)
戦略フェーズで策定された、バランススコアカード(BSC)のKPI目標を実現するためのアクションプランのスケジュールを設定します。 - 実行(Do)
アクションプランを実行します。 - 検証(Check)
検証は「問題の特定」「原因の推定」の順で行います。- 問題の特定
まず、KPI目標値と実績のGapである問題を発見します。
次に、ドリルダウン・アップやスライシングによる多次元分析によって、どこに問題があるか特定します。
データ分析は、記述的分析、予測的分析、処方的分析に分けることができますが、多次元分析は、記述的分析(Descriptive Analytics)になります。
例えば、次のようなデータ分析で問題を特定します。- どの店舗に問題があるか
- よく買ってくれる顧客は誰か(顧客のセグメント別分析)
なお、2つ目のケースなどのように「機会」は、負(ネガティブ)の問題と考えます。
- 原因の推定
多次元分析によって、どこに(Where)問題があるか特定できたら、次に、なぜ(Why)問題が生じたのか、仮説推論(Abduction)で問題の原因を推定します。
そして、回帰分析など機械学習を通して原因の確からしさを検証します。
回帰分析は主に帰納(Induction)的な手法であり、与えられたデータから一般的な法則になる変数間の関係性を導きます。
なお、回帰分析は、予測的分析(Predictive Analytics)になります。
例えば、次のようなデータ分析で原因を推定します。- 問題がある店舗の何が原因(接客、品揃えなど)で問題が生じているか
このような原因で店舗に問題がある。 - よく買ってくれる顧客の特徴(顧客の属性)は何か
こういう特徴がある顧客は、この製品をよく買ってくれる。 - よく買ってくれる顧客は製品やサービスの何に(提供商品の特徴)価値を感じているか
製品がこういう価値を提供するから、顧客がよく買ってくれる。
- 問題がある店舗の何が原因(接客、品揃えなど)で問題が生じているか
- 問題の特定
- 改善(Act)
改善は「課題の設定」「解決策の考案」「実験計画の策定」「解決策の検証」「業務の改革・改善」の順で実施します。- 課題の設定
まず、原因を取り除くことを課題(Issue)として設定します。
例えば、店舗の問題の原因が接客にあるのであれば、接客を改善することが課題になります。
また、よく買ってくれる顧客の特徴がわかれば、似たような特徴を持つ顧客に製品をプロモーションして購買量を増やすことが課題になります。 - 解決策の考案
次に、仮説推論(Abduction)で、課題に対する解決策(仮説)を考えます。
その中には、AIを活用した解決策(レコメンド、最適な治療法の提案、最適な学習経路の提案など)も含みます。
例えば、よく買ってくれる顧客と似たような特徴を持つ顧客の抽出には、類似性マッチング(similarity matching)などの機械学習モデルを活用することができます。
AIを活用した解決策は、処方的分析(Prescriptive Analytics)になります。
解決策が計画レベル(スケジュール)の見直しの場合、実験に進まずに、次のマネジメントサイクルに移ります。
解決策が戦略レベルや設計レベルのの見直しになる場合、解決策の妥当性を検証するために、次の「実験計画の策定」に進みます。 - 実験計画の策定
次に考案された課題解策を実証するために、ランダム化比較実験など因果推論に基づいた実験計画を策定します。 - 解決策の検証
ランダム化比較実験を行い課題と解決策に、因果関係(一般的法則)があるか統計的に検証します。
例えば、類似性マッチング(similarity matching)などの機械学習モデルを使って優良顧客の類似顧客を抽出したら、本当に、その顧客に製品をプロモーションすると製品を買ってくれるかどうか実験して確かめます。
PoC(Proof of Concept:概念実証)も解決策の検証に入ります。
なお、解決策が、新規市場開拓や新製品開発など戦略レベルの見直しの場合、新規市場や新製品を検証した後、「業務の改革・改善」に進まずに、次の戦略サイクルの戦略フェーズに移ります。
解決策が、設計レベルの見直しの事業変革・創出場合、「業務の改革・改善」に進まずに、次の戦略サイクルの設計フェーズに移ります。
また、解決策が、AIを組み込んだ新しいビジネスプロセスなど、設計レベルの見直しの業務改革・改善場合、AIを組み込んだアクションプランを検証し、「業務の改革・改善」に進みます。 - 業務の改革・改善
因果関係が実証された解決策をビジネスプロセスに組み込みます(実験から実践へ)。
そして、解決策が組み込まれたビジネスプロセスをベースにPlan(アクションプラン)を策定します。
アクションの方法が改善された場合、それをガイドラインとして記録することによって組織ナレッジが蓄積されていきます。
実証された解決策を適用してアクションを実行し結論を導くのは演繹(Deduction)的アプローチです。
- 課題の設定
以上のように、データドリブン経営は、仮説検証を繰り返す科学的アプローチです。
PDCAの結果をすべて記録しノウハウとして蓄積することで学習し進化する組織が実現します。
データドリブン経営と業務改革・改善
ここでは、制約理論(TOC)に基づいた業務改革・改善について説明します。
次の図は、データドリブン経営と、業務改革、事業変革の活動の関係を表したものです。
解決策を考えるとき、まず、TOCを適用して課題を解決するための制約を特定し、TOCのステップ2から4で解決策を考案します。
TOCのステップ2から4、それぞれの解決策に対して実験を行い検証します。
業務改革・改善では、検証された解決策を反映した業務フローを設計します。
制約理論(TOC)に基づいた業務改善
制約理論(TOC)に基づいた事業変革
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