ここでは、
組織に依存せず経済的に自立して自己実現のために生きたい
という人向けに、
どうしたら夢を叶えられるのか?
以下の順で解説します。
夢を叶えるとはどういうことか?
まず、前提を確認しておきたいと思います。
ここでいう夢とは、個人が「こうなりたい」と描く将来の状態のことです。
お金持ちになりたい
大きな家が欲しい
ビジネスで成功したい
…
なんでも良いのですが、ここでは、マズローの欲求5段階説に基づいて考えたいと思います。
マズローの欲求5段階説とは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱したもので、
人間の欲求には、次の5段階(低い順)があり、絶えず、自己実現の欲求に向かって成長する
というものです。
聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
- 生理的欲求 (Physiological needs)
食事・睡眠・排泄など、生命を維持するための本能的な欲求。 - 安全の欲求 (Safety needs)
安全性、経済的安定性、良い健康状態の維持など、予測可能で秩序だった状態を得ようとする欲求。 - 社会的欲求 (Social needs)
自分が社会に必要とされている、他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚。 - 承認の欲求 (Esteem)
自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求。 - 自己実現の欲求 (Self-actualization)
自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して、具現化して自分がなりえるものにならなければならないという欲求。
マズローの欲求5段階説で考えると、欲求の段階に応じて、夢にもレベルがあることになります。
さて、変化が激しく、不透明で先行きが予測できない昨今の経営環境をVUCA(ブーカ)という言葉で表すことがあります。
VUCAとは
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(不透明性)
の頭文字をとった造語です。
例えば、コロナ禍ですが、何の前触れもなく突然訪れましたよね。
このように、いつ何が起こるかわからない時代、大きな企業に属していれば経済的に安全かというと、そうとも言い切れません。
そこで、ここでは、
組織に依存せず、経済的に自立して自己実現のために生きている状態
を夢が叶った状態、成功した状態と考えたいと思います。
なぜ夢が叶えられないのか?
次に、
なぜ夢が叶えられないのか?
考えてみましょう。
結論から言うと、諦めるからです。
ということは、夢を叶えるためには、少なくとも、諦めない必要があるということです。
諦めてしまう原因は、さまざまでしょうが、失敗が原因で諦めたというケースは多いのではないでしょうか。
発明王、トーマス・エジソンの
私は失敗したことがない。ただ、うまく行かない方法を1万通り見つけただけだ。
(I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.)
という言葉は有名です。
うまく行かない方法が見つかれば、それだけ、成功に近づく、なので、諦めなければ、いつか成功するという考え方ですね。
実は、この考え方は単なる精神論ではありません。
「転んでもただは起きない」といいますが、うまく行かなくても、そこから何かを学びとるという姿勢が大事だということです。
幸運は用意された心のみに宿る。
(Chance favors the prepared mind.)
これは、準備ができている人にのみ幸運が訪れるという、フランスの細菌学者ルイ・パスツールの有名な言葉です。
途中で諦めずに夢の実現に向かって歩み続けるためには、いつ幸運の女神が訪れてもいいように、
- やればやるほど、モチベーションが強化され、継続力が上がる
- やればやるほど、ノウハウが蓄積され、成功力が上がる
仕組をつくることが重要です。
そのためには、小さな成功と小さな成長を繰り返しながら、加速的に夢に近づいていく必要があるのです。
自己実現のフレームワーク
それでは、どのようにして、加速的に夢に近づいていく成功のスパイラルをつくればよいのでしょうか。
夢を叶える仕組をつくるための考え方、自己実現のフレームワークは次の4つです。
- ビジョンを描く
- まず試してみる
- 適切な目標をたてる
- 習慣化する
ビジョンを描く
ビジョンとは、自身が目指す将来の姿のことで、夢を具体的なかたちで表したもの
です。
ここでは、
組織に依存せず、経済的に自立して自己実現のために生きている状態
を夢が叶った状態、成功した状態と考えるので、
どのように経済的に自立して、どのように生きているのか
具体的な姿として表されたものがビジョンということになります。
マズローによると、自己実現(Self-actualization)とは、
自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して、具現化して自分がなりえるものになった状態
ということなので、ビジョンを設定する上で、もし、経済的に安定した状態になった場合、自分は何がしたいのか、自分には何ができるのか明確にする必要があります。
さて、ここでは、ビジョンを次の5つのカテゴリーで分類したいと思います。
- SDGs
人を取り巻く自然(環境)の為に何ができるか、貢献したいことをビジョンとして設定します。
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指すために、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。
自分のビジョンを国際社会共通の目標であるSDGsに結びつけて考えます。 - ファイナンス(Finance)
自身が生きていくために必要な財産を明確にします。
ビジネスで得た収益を財務資産に投資することで、そこから安定したキャッシュフローが得られる経済的基盤をつくることができます。 - ビジネス(Business)
人(社会)の為に何ができるか、貢献したいことをビジョンとして設定します。 - 能力(Capability)
ビジョンを実現するためにどんな能力を身につけたいか成長の方向性を設定します。 - 健康(Health)
ビジョンを実現するために心身をどのような状態にしたいか設定します。
これらビジョンのうち、SDGsとビジネスでは、自分の利益というより、自分以外の人や自然に対する貢献を基本にビジョンを設定することを推奨しています。
なぜならば、他者への貢献がビジョンの根本にある場合、それが達成されることで、周りが幸せになるだけでなく、自身にも大きな喜びが生まれ、モチベーションを維持、向上することができるからです。
これは科学的にも証明されており、人の役に立つ行動をとるとオキシトシンやセロトニンという脳内物質が分泌されます。
これらの物質は、前向きで楽観的な心理状態にする物質で、その心理状態は長く続くのです。
さて、この5つのカテゴリーの構成ですが、
- まず、ビジョンを実現するために必要な心身をつくり、
- ビジョン実現に必要な能力を身につけ、
- ビジネスを行い、そこから得た収益で、安定したキャッシュフローを生み出す経済基盤をつくった上で、
- SDGsに貢献する
という4階層のアーキテクチャ(基本構造)になっています。
ビジネス領域について、もう少し詳しく見ていきましょう。
ロバート・キヨサキの金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント : 経済的自由があなたのものになる (単行本)では、職業を次の4つのタイプに分類しています。
- Employee(従業員・サラリーマン)
会社に雇われてお金をもらっているタイプ。 - Self-employed(自営業)
お金を自分で稼いで自分を養っているタイプ。
弁護士や会計士など専門家(Specialist)も、このタイプに属します。 - Business-owner(ビジネスオーナー)
ビジネスを所有し、そこから得られる収入からお金を得ているタイプ。 - Investor(投資家)
お金を有望な会社や投資対象に投資することでお金を得ているタイプ。
ビジネスや能力のビジョンを考えるとき、自分はどのタイプの職業を考えているのかによって内容が変わってくるので、自分が選んだ職業に合った、より適切なビジョンを描くことが肝要です。
さて、1961年、米国のケネディ大統領は、
「我が国は60年代が終わるまでに、月に人間を着陸させ、安全に地球に帰還させる」
と宣言しました。
ビジョンは、「何ができるか」ではなく、「どうありたいか」を宣言するものです。
まず試してみる
ビジョンが決まったら、それを実現するための実行計画を立てる必要があります。
しかし、ここで考える自己実現プロセスでは、すぐに実行計画を立てるのではなく、まず、ビジョンを実現するために考えたソリューションや方法でうまくいくか試してみて、うまくいったら、それをベースに実行計画を立てて実行に移すというアプローチをとります。
つまり、実験と実践、つまり、探求プロセスと実現プロセスを繰り返すのです。
なぜか。
先行き不透明で予測困難な昨今、決まった成功パターンなどなく、常に変化する環境に合わせて最適な方法を見つけながら進む必要があるからです。
多くを試してうまくいったものを残す。
これは、ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則という本に書かれているもので、ビジョナリーカンパニー、つまり、私達が暮らす社会に消えることのない足跡を残した卓越した会社に共通した経営原則の一つです。
この本の中で、著者のジム・コリンズは次のように述べています。
ビジョナリーカンパニーの社史を調べていったとき、各社でとくに成功した動きのうちいくつかが、綿密な戦略計画に基づくものではなく、実験、試行錯誤、臨機応変によるものであったり、文字通り、偶然の結果であったりするのに、私たちは驚かされた。
これは、企業の経営原則ですが、人生の経営原則にも応用できるのではないでしょうか。
いくつか例を出して説明します。
まず、ダイエットの例です。
例えば、健康領域のビジョンを「適正体重にする」にしたとしましょう。
通常は、適正体重にするために、例えば1年間の月別の目標を設定して実行計画を立てると思います。
しかし、この自己実現プロセスの場合、まず、自分に適したダイエットの方法を探求します(探求プロセス)。
例えば、ダイエットの方法として
- カロリー制限
- 有酸素運動
- 糖質制限
が考えられる場合、同じ条件で、それぞれ試してみて、自分にとって最も効果があるものを見つけるのです。
そして、例えば、糖質制限が最も効果があった場合、その方法で、1年間の月別の目標を設定して実行計画を立てて、それを粛々と実行します(実現プロセス)。
探求プロセス(実験)の部分がよけいに発生するので、効率が悪いと思われるかもしれませんが、全く効果のない方法で実行計画を立てて失敗を繰り返した後で方法を見直すほうが結果的に無駄が多く効率が悪いのです。
次に、ビジネスの例です。
例えば、ビジネス領域に、「ターゲット顧客①にソリューションAという価値を提供する」というビジネスを立ち上げるというビジョンを設定したとしましょう。
その場合、
- ターゲット顧客①という仮説は適切か
- ソリューションAという仮説は適切か
実験を通して検証します。
もし、仮説が間違っていた場合、事業ドメインを「ターゲット顧客②にソリューションBという価値を提供する」に変更して検証するというように、ターゲット顧客×ソリューションの組み合わせで実験計画を立てて検証していきます。
その結果、「ターゲット顧客③にソリューションFという価値を提供する」という市場が見つかった場合、ソリューションFを開発する実行計画を立てて実行に移すわけです。
ビジネスを立ち上げるというビジョンの場合、スタートアップが通常行っているプロセスであり、デザイン思考と同じアプローチになります。
このように、探求プロセスは、仮説検証プロセスであり、科学的なアプローチなのです。
ここで、もう一つ大事なことがあります。
それは、実験の結果、うまくいっても、いかなくても結果を記録するということです。
実験の結果は、実証されたノウハウであり、それをガイドラインとして実現プロセス(実践)をまわすことができます。
うまくいった場合、「XXをする」というガイドラインになり、
うまくいかない場合、「XXをしない」というガイドライン
になります。
実証されたノウハウは「小さな成長」になり、モチベーションを上げるだけでなく、それをガイドラインとして蓄積することで成功の確率を上げることができます。
これによって、トーマス・エジソンの
「私は失敗したことがない。ただ、うまく行かない方法を1万通り見つけただけだ。」
という成功の考え方を、自己実現のプロセスに組み込むことができるのです。
適切な目標をたてる
実験をしてうまくいった場合、ビジョンを実現するための一里塚となる小さな目標を設定し、うまくいったソリューションや方法を使って、それを実現していきます(実現プロセス)。
ここで重要なのが、適切な目標を立てるということです。
目標設定を間違えると、行動ができず、モチベーションが落ち、途中で挫折してしまう可能性があります。
ここでは、適切な目的を立てる方法として、SMARTの法則を紹介します。
これは、1981年にジョージ・T・ドランの論文で発表されたもので、目標を設定する際に注意すべき、次の5つの要素の頭文字をとったものです。
SMARTの法則にしたがって目標を立てることで、目標を実際の行動に落とすことができ、行動に対するモチベーションも維持しやすくなります。
- Specific:具体的であること
まず、目標は、具体的にイメージできるようにする必要があります。
目に見える具体性がないと、行動に結びつきません。 - Measurable:測定できること
目標の達成度合いが測定できるように、内容を定量化して表します。
ピーター・ドラッカーも、
測定できないものは管理できない
(you can’t manage what you can’t measure)
と述べており、測定の重要性を説いています。 - Achievable:達成可能であること
これは、目標を達成できると確信できる度合いを表します。
あまりにも遠くあいまいな目標では、モチベーションが上がらず、具体的な行動につながりません。
一方、低すぎる目標では力を出し切る必要がなく、最大限の成果を得られません。
ちなみに、目標設定の時点で達成の見通しが40~60%程度が良いと言われています。 - Relevant:関連性があること
自分の価値観に沿った目標設定にすることが必要です。
自らが本当に望んでいる目標だからこそ、目標に向かって真剣に取り組むことができるのです。 - Time-bound:達成期限があること
目標達成のためには、達成すべき期限やスケジュールを明確に決める必要があります。
期限が明確であるからこそ、具体的な行動計画を策定することができ、進捗を管理することができます。
このように、ビジョンが「どうありたいか」を宣言したのに対して、目標は「いつまでに、何ができるか」を宣言したものになります。
習慣化する
適切な目標を設定したら、それを実現するための実行計画を立てて、それを粛々と実行していきます(実現プロセス)。
そのとき、大事なのが、行動を習慣化するということです。
実行計画を立てても、なかなか、その通りに実行できないというケースが多々あります。
そこで、ここでは、無意識に身体が動くように一定のリズムをつくる方法について説明します。
それは、ポモドーロ・テクニックを活用する方法です。
ポモドーロ・テクニックとは、1980年代にイタリア人のフランチェスコ・シリロによって考案された生産性を向上させるための時間管理術です。
具体的には、以下のように進めます。
- 達成しようとするタスクを選ぶ。
- キッチンタイマーで25分を設定する。
- タイマーが鳴るまでタスクに集中する。
- 少し休憩する(5分程度)。
- ステップ2 – 4を4回繰り返したら、少し長めに休憩する(15分 – 30分)。
このポモドーロ・テクニックの効果ですが、一般的には次のように言われています。
- 集中力を維持・向上することができる
25分間と明確に時間を区切ることで、集中力の維持や向上につながります。
一時に一事を絞るため、マルチタスクであっても25分間は他のタスクに気が散ることなく進めることができます。
また、一つの作業が終わると、それが達成感につながり、モチベーションが維持されます。
25分というインターバルですが、- 人間の集中力は最初の5分程度注意が散漫で、βエンドルフィンが徐々に分泌される
- 15分〜20分程度で脳内のβエンドルフィンはピークに達する
- 1だから、25分程度で一旦休憩を入れることが最も効果的である
という根拠にもとづいているようです。
- 作業効率を上げることができる
ある作業を時間内に終わらせようとすることで、結果的に作業効率が上がります。
締め切りが近いタスクには集中して取り組めるのと同じです。 - 疲労を抑制することができる
休憩を入れずに作業し続けると疲労がたまります。
疲れがたまったまま作業をし続けるのは、生産性が下がるうえに余計に疲れがたまるという悪循環になります。
なので、適度に休憩を挟むことで、集中力が持続され、高いパフォーマンスを維持することができます。
このように、ポモドーロ・テクニックは、人が時間を管理するのではなく、時間に人を管理させるテクニックです。
つまり、人間の意思に任せるのではなく、仕組化するのです。
一般的に、
- 読書や日記や勉強等の行動習慣は、約1ヶ月で習慣化される
- ダイエットや運動や早寝早起き等の身体習慣は約3ヶ月で習慣化される
- プラス思考や論理的思考等の思考習慣は約6ヶ月で習慣化される
と言われています。
なので、ポモドーロ・テクニックを活用して、実行計画の行動を習慣化し、脳に新しい配線(自己実現脳)をつくることで、目標が達成される可能性が上がります。
目標が達成されると、それが「小さな成功」になり、
やればやるほど、モチベーションが強化され、継続力が上がる
という成功のスパイラルが回転しはじめるのです。
まさに、
「継続は力なり」
ですね。
以上、今回は、「夢を叶える方法」について解説しました。