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なぜマインドフルネスはストレスを低減するのか

投稿日:2020年11月3日 更新日:

最近、「マインドフルネス」という言葉をよく耳にするようになりました。
皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
アップル創業者のスティーブ・ジョブスが禅やマインドフルネスに傾倒していたことは有名です。
また、グーグルやフェイスブック、ヤフーなどの最新の大手企業が研修などで取り入れたことなどをきっかけに、ビジネスの世界でもマインドフルネスが普及し始めています。

マインドフルネスとは、一言でいうと「今の瞬間」自分が何をやっているのか「念(サティ)」を持ってありのままに観る方法のことです。

これは、ブッダが発明したヴィパッサナー瞑想のやり方と同じですが、ヴィパッサナー瞑想が解脱を目的としているのに対して、マインドフルネスは心身の治療や能力開発を目的としているところが異なります。

ハーバード大学がマインドフルネスによる医学的効果を調査したところ、記憶や感情を司る海馬が5%増加し、ストレスホルモン放出に関わる扁桃体が5%減少したことが確認されました。
これは、マインドフルネスは、ストレスを低減し、認知症やうつ病を抑制する効果があることを示しています。
なお、認知療法としてのマインドフルネスに関しては、ジョン・カバット・ジンの「マインドフルネスストレス低減法」が有名です。

今回は、なぜマインドフルネスはストレスを低減するのか、システム思考で考えてみたいと思います。

参考
NHKスペシャル「キラーストレス」

ストレスが働く仕組

まず最初にストレスについて解説します。
これは、ストレスが働くメカニズムをシステム思考の因果ループで表したものです。

  • 例えば、ライオンに遭遇するなど生命の危機にさらされるとストレスが発生する
  • ストレスが発生すると、恐怖や不安を感じる脳の扁桃体が活性化する
  • 扁桃体が活性化すると副腎に指令がいき副腎からコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌される
  • ストレスホルモンが分泌されると心拍数や血圧が上昇し、危機に対する対応能力が上がる
  • 危機に対応するとストレスが下がり元の状態に戻る(平衡ループ)

このように、ストレスとは、本来、生命に備わった機能です。
※ストレスとは外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。

現在の状況

それでは、現在の状況について考えてみましょう。
人間関係のトラブル、失敗できない仕事など、現在、私たちを取り巻く環境にはストレスを発生させる事象がたくさんあります。
しかも、そられの事象は一過性のものではなく、何度も何度も繰り返して発生します。
そうすると、また怒られるのではないか、次は失敗するのではないかなど、ありもしない妄想を膨らませるようになります。
また、過去の失敗を何度も何度も思い出しては後悔するようになります。
このように、過去の悪い出来事を思い出したり、未来の悪い出来事を想像することを「マインドワンダリング(心の迷走)」といいます。
このマインドワンダリングは、さらにストレスを発生させます。

このように、現在、私たちは度重なるストレス事象にさらされて、どんどんストレスが増大する状況(拡張ループ)に陥っています。
さらに、この状況が続くと、ストレスホルモンの一つコルチゾールが過剰分泌されます。
コルチゾールの過剰分泌は、記憶や感情を司る脳の機関である海馬を萎縮させることがわかっており、それが原因で認知症やうつ病が引き起こされるのです。

なぜマインドフルネスがストレスを低減するのか

ここで、この悪循環を断ち切るためのレバレッジ、つまり、効果的作用点を考えてみましょう。
それは、マインドワンダリングです。
ストレス事象が発生した場合、妄想せずに、粛々と対応していけば問題はないわけです。
それでは、妄想を止めるにはどうしたらよいでしょうか。
ここで効果を発揮するのがマインドフルネスです。
マインドフルネスとは、「今の瞬間」自分が何をやっているのか「念(サティ)」を持ってありのままに観る方法です。
つまり、マインドフルネスで今の瞬間に集中することで、過去の悪い出来事を思い出したり、未来の悪い出来事を想像すること(マインドワンダリング)をストップするのです。

それによって、以下のように、ストレスが増大していく悪循環(拡張ループ)が、ストレスが低減され、認知症やうつ病が抑制される平衡状態(平衡ループ)に転換されるのです。

  • マインドフルネスによってマインドワンダリングが抑えられる
  • マインドワンダリングの抑制によってストレスが低減する
  • ストレスが低減することによって扁桃体の活性化が抑えられる
  • 扁桃体の活性化が抑えられることによってストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が低下する
  • ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が低下することによって海馬の萎縮が抑えられる
  • 結果的に認知症やうつ病が抑制される

また、これは仮説ですが、マインドフルネスは大脳を使って、原始脳である扁桃体を抑える効果もあるようです。

以上、今回は、なぜ、マインドフルネスがストレスを低減し、認知症やうつ病を抑制するのか解説しました。

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