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【DXの進め方】バリューチェーンと業務の分析

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記事「DXによる企業変革の進め方」では、
既存の事業を運営しながら、
企業基盤の構築
事業の深化と探索
という、2つのプロセスを並行させて企業を再構築する方法について解説しました。

そこでは、まず、設計フェーズでは、企業全体の基本構造であるEAを設計し、
次に、構築フェーズでは、EAに従って企業基盤を構築し、
最後に、構築された企業基盤を活用して、事業の深化と探索を進めると説明しました。
このうち、EAの設計ですが、次のような手順で進めます。

  1. 事業構成の明確化
    まず、企業を構成している事業を明確にします。
  2. パーパス・ビジョンの再定義
    次に、企業のパーパスと行動指針を再定義します。
    企業のパーパスと行動指針は、社員の行動の動機となる価値観になり、企業文化を構築します。
    次に、各事業の事業ドメイン(事業領域)を再定義します。
    事業ドメインのパーパスは、対象顧客の価値観と課題、それに対する解決策を明確にし、「誰に何の価値を提供するか」という観点で定義します。
    さらに、具体的な事業単位のターゲット顧客や製品の機能を明確にし、「いつまでにどこに向かうか」という観点で事業のビジョンを定義します。
  3. バリューチェーン分析
    パーパスとビジョンが定まったら、価値を生み出すバリューチェーンを明確にします。
    バリューチェーンは、各事業の主要活動と、それを支える支援活動に分けて、それぞれ、それを構成する活動領域を明確にします。
  4. 業務分析
    次に、バリューチェーンを構成する活量領域ごとに、関連する組織・場所・情報・財務・活動(誰が・どこで・何を使って・どうするか)を分析し、ビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャとして表します。
  5. 事業戦略の可視化
    最後に、全社戦略として事業ポートフォリオ、各事業単位の個別戦略として戦略マップ、および、アクションプランを明確にします。
    また、全社戦略から全社IT戦略を導きテクノロジーアーキテクチャを設計します。

今回は、このうち、
バリューチェーン分析
業務分析
について見ていきます。

バリューチェーン分析

バリューチェーンでとは、M・E・ポーターが競争の戦略という本で提唱した概念で、
事業活動を活動領域ごとに分類し、どの部分で付加価値が生み出されているか、競合と比較してどの部分に強み・弱みがあるかを分析し、事業戦略の有効性や改善の方向を探る手法
のことです。

バリューチェーンは、顧客に直接価値を提供する主要活動と、それを支援する支援活動から構成されます。
バリューチェーンの分析は、以下の手順で行います。

  1. 活動領域の整理
  2. 活動の分類

活動領域の整理

まず、以下のように企業全体の活動領域を体系的に整理します。

この活動領域は、以下のように構成されています。

  • 営業活動
    顧客に対して直接価値を提供する活動。
    営業活動は、さらに、

    • 商流
      取引の流れ。
    • 金流
      お金の流れ。
    • 物流
      物の流れ。

    で分類することができます。

  • 資産管理活動
    資産のライフサイクル(調達、活性化、維持、処分)を管理する活動。
    資産活動は、さらに、資産の種類で分類することができます。

    • 人的資産
      顧客、社員、パートナー。
    • 知的資産
      商品、知的財産。
    • 財務資産
      流動資産、固定資産。
    • 情報資産
      稼ぐ力を持つ情報(データ資産)と、その情報を収集したり処理したり保管したりするための装置(情報システム)。
      機械学習でつくる学習モデルも組織ナレッジの一種と考えます。
  • 財務活動
    営業活動、資産管理活動に必要な資本を調達する活動。
  • 経営活動
    経営理念を実現するためにビジョンに向かって全体をコントロールする活動。

この4つの活動は、企業の基本的な経営サイクル(下図)に基づいています。

活動の分類

次に、上記活動領域を以下の観点で分類します。

  • 主要活動
    主要活動は、顧客に直接価値を提供する活動で、

    • 事業固有の営業活動
    • 事業固有の資産管理活動

    になります。

  • 支援活動
    支援活動は、全事業に共通した活動になります。

    • 事業支援活動
      主要活動を支援する活動で、以下のように分類することができます。

      • 営業支援活動
        全事業の営業活動を支援する活動で、全事業共通の資材の調達、債権・債務管理、入出荷管理が該当します。
      • 共通資産管理活動
        例えば、社員管理など、上記資産管理活動の中で、全事業共通の資産の価値を管理する活動です。
    • 企業支援活動
      主要活動、事業支援活動を支援する活動で、財務活動、経営活動が該当しす。

業務分析

業務分析は、バリューチェーンを構成する各活動領域ごとに、次のような観点で行います。

以上、今回は、「DXによる企業変革の進め方」EA設計の中のバリューチェーン分析と業務分析について解説しました。

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  1. […] 前回の記事「バリューチェーンと業務分析」では、バリューチェーンを構成する各活動領域ごとに次のような観点で業務を分析すると説明しました。 この中の活動の分析に、ビジネス […]

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